日本人の脳機能のユニークさと文化より |
〔参考文献〕
角田 忠信(つのだ ただのぶ)
『日本人の脳機能のユニークさと文化』
(テレビジョン学会誌、1978年、486〜491)
【角田 忠信】
1926年10月8日生まれ。
医学者。
東京医科歯科大学(耳鼻咽喉科)卒。
東京医科歯科大学名誉教授。
1978年に東京医科歯科大学難治疾患研究所教授、「日本人の脳」を出版。
「日本人の脳」は30万部を超えるベストセラーとなった。
【左脳と右脳の働きの違い】
[左脳(言語脳)]
- 知的
- 言語的な情報処理
- 情動に関与
[右脳(音楽脳)]
- 非言語活動
- 言葉を使わない知覚、理解、記憶に優れている。
【日本人と外国人の脳の分担比較】
[日本人では]
- 左脳(言語脳)が主役。
- 母音や自然音に含まれるわずかなFM音に対して鋭敏に左脳で応じる。
- 左脳(言語脳)の知的な動きに加えて、感性的な音、動物の鳴き声、波・風・雨・小川のせせらぎの音などが優位に処理される。
- 日本語は、子音は必ず母音を伴う。
[外国人(日本人以外)では]
- 右脳(音楽脳)が主役。
- 左脳(言語脳)優位の音は、言語音に限られる。
- 子音の音形に対した形にのみ左脳で応じる。
- 左脳では、計算とともに知的な働きを分担。
- 右脳では、自然界の音、人間の感情音、機械音を分担。
*これらの特徴は、上の図のように表される。
【言語での脳の優位性パターン比較】
[日本人では]
- 「あー」と長く延ばした持続母音であっても、子音と同様に左脳(言語脳)が優位。
[外国人では]
- 子音を含む音節単位の音やこれに似た音は左脳(言語脳)優位。
- 持続母音だけでは右脳(音楽脳)が優位。
日本人は、言語音としての自覚なしに、「母音のもつ基本的な構造」で、母音を言語脳優位に処理している。
[母音のもつ基本的な構造とは]
- 日本語では子音は必ず母音を伴う。
- 各母音が単独で意味をもつ。
- 言語音を母音だけの組み合わせで、たくさんの優位語を作り出せる。
こうした点が、外国人とは違ったしくみにしたものと考えられる。
【自然音での脳の優位性パターン比較】
自然音とは、動物の鳴き声や人間の感情音など。
動物の鳴き声:虫の音、鳥のさえずり、蛙、犬、猫など。
人間の感情音:ハミング、泣き声、笑い声、うめきなど。
[日本人では]
すべて言語脳(左脳)優位となる。
[外国人では]
すべて音楽脳(右脳)優位となる。
音楽脳優位では、虫の音が虫の鳴き声として認識されず、虫の音が聞こえなかったり、雑音として聞こえてしまう。
【虫の音が聞こえるのは日本人だけ?】
1987年、角田忠信博士がキューバで開かれた国際学会に参加した時のこと。
蝉しぐれのような虫の音に驚いた角田博士は、周囲の人に「何という虫が鳴いているのか?」と尋ねた。
すると、誰も「何も聞こえない」と答えた。
その日のパーティーが終わった深夜に、若い男女2人のキューバ人と帰途についた博士。
静かな夜道に、先ほどよりもさらに激しい虫の音が聞こえた。
博士が何度も虫の鳴く草むらを指し示しても、2人は何も聞こえず、不思議そうに顔を見合わせていた。
その後、博士は、毎日この2人と行動を共にした。
男性の方は、3日目にようやく虫の音に気づくようになった。
女性の方は、1週間経っても分からないままだった。
「日本人と外国人の耳には違いがあるのかもしれない」と思った博士、この発見が博士の研究の始まりだった。
【文化の特徴で脳の優位性パターンが変わる】
[10才までの言語環境]
左脳と右脳のどちらが主役になるかは、10才までの言語環境によって左右される。
北米と南米生まれの日系2,3世について調査して分かっている。
日本人以外のアジア人についてもテストを行なっているが、日本人のような型を見出すことができていない。
[ポリネシア語]
ポリネシア語で生育した人は、日本語の優位性パターンを持つ。
ポリネシア語は、母音の音韻構造が日本語に酷似している。
東サモア、トンガ、ニュージーランド、ラロトンガの原地人について調査。
ニュージーランド北東の都市周辺で、英語を母国語として育った人は、西洋語型を示す。
[角田博士の考察]
外国人と日本人の間にみられる自然音、言語音の認知機構の差は、聴覚を通じての自然との関わり方の違いを意味している。
これが自然音の聴き方、感じ方の違いとなり、両者の精神構造を特徴づける原点となっているのではないだろうか。
【色々な母音】
母音と聞いて、赤ちゃんのクーイングと雅楽や詩吟の朗詠が脳裏に浮かんだ。
赤ちゃんが泣く以外で最初に声を出すのは、唇や舌を使わない、「あー」「うー」などの母音だけの音だ。
これはクーイングと呼ばれ、口腔内が発達したことで出る音で、赤ちゃんの機嫌がいい時やリラックスしている時に出やすい。
その後、子音+母音の連続する音、「ばばば」「だだだ」などの喃語(なんご)を話すようになる。
雅楽や詩吟などの朗詠は、母音を一音一音、長くのばして歌う特徴がある。
私は雅楽の朗詠を鑑賞したことがある。
楽器の演奏とともに、「えー」「いー」「あー」「うー」「おー」と拍節(はくせつ)的リズムで母音を長くのばして歌っていた。
歌の旋律をなぞるように、笙(しょう)、篳篥(ひちりき)、龍笛(りゅうてき)のみの演奏がたどる。
この母音をながくのばした朗詠を聴いていると、天に昇るような、上に引っ張られるような不思議な感覚になった。
【おわりに】
日本人と外国人を比較することは偏見にあたるだろうか?
科学=スピリチュアル
スピリチュアル=科学
現代で唯一スピリチュアルを学問にした分野は哲学。
古代の哲学者は、数学者・科学者でもある。
科学という言葉がなかった当時、科学は自然哲学と呼ばれていた。
スピリチュアルは科学で証明できる。
未科学を証明することが科学だ。
スピリチュアルを科学で証明できれば、宗教問題はなくなり、宗教は芸術になるだろう。
スピリチュアルは目で見えないものだから科学では証明できないだろうか?
音は目で見えないが、科学で証明されているので、粒子や分子といったものとして表現できる。
科学もスピリチュアルも両方知らなければ、ものごとを中立的に見ることはできない。
愛のある人は、善と悪、科学とスピリチュアルなど、全てのものを受け入れることができる。
固定観念を捨てて、物事を中立的に見ると、面白い発見があるものである。
どう思うかはは人それぞれ、これも愛である。
ところで、日本人は英語が苦手なのは、日本人と外国人とでは脳の優位性パターンが違うからではないだろうか。
そして、英語を動詞とか形容詞とか文法で教えるので、なおさら覚えられないのではないだろうか。
文化の特徴で言語音の認知機構の差があるなら、日本独自のものについて調べると面白い発見があるかもしれない。
私が日本独自と考えた時に、思い浮かんだのは神道だった。
宇宙に存在するあらゆるものに意志があるかのように、山・滝・巨岩・巨樹などの自然を神として祀り、感謝、崇拝する神道。
神道は、開祖も経典もないし、具体的な教えもないのだから、日本で育った者でなければ、この感覚はなかなか理解できないだろう。
その他の脳に関する話はこちら⇩
『脳を完全に機能させる方法〜おすすめの本:アセンションの超しくみ』
https://keipandkeip.blogspot.com/2022/03/blog-post.html
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