竹山神社〜鹿児島県指宿市

2022/12/12

旭日旗 菊花紋 山伏 鹿児島 神社仏閣 竹山神社 天狗 日章旗 日本の歴史

 










竹山神社



【所在地】


鹿児島県指宿市山川




【御祭神】


手力男命(たぢからおのみこと)


須佐之男命(すさのおのみこと)


猿田彦命(さるたひこのみこと)




【由緒と歴史】


*三国名勝図会〔巻之二十二*揖宿郡〕の竹山神社の項目では次のように記されている。


『竹之山神祠 山川村にあり、祭神谷山烏帽子嶽権現大天狗なり、山上に石小祠二つを建つ、一つは絶頂、一つは山の七分にあり…
二山各岩石を神髄として、古松蘇生せり、此両山天狗の栖止する所なりとて、種々の霊怪あり、或は絶頂に神燈現し、或は太鼓笛螺の音鳴り響き、或は数十丈の岩石崩れ墜る聲ありて、一石の落たるなく、或は此山下夜中通行する時、散楽の謠、幷に高音にて談話すれば、石礫山上より来る…』


竹山神社は、標高200mの竹山にある。

竹山の七合目と頂上に拝殿があり、元は谷山烏帽子嶽権現大天狗が祭神だった。

創建は1683年、不思議な形をした二つの岩山が御神体。

竹山は、霊山として信仰の対象ともなっており、かつては熊野修験の修行の場だった。

熊野山伏は、山野で太陽・月・山・海を神として拝みながら心身を鍛えた。

竹山が修行の場とされたのは、高くそびえる岩山が神の宿る天と海に近いこと、南国のソテツが自生し、周辺には温泉が湧き、大地のエネルギーが溢れているからだろう。

竹山は天狗の棲家で、竹山神社の祭神は天狗、そして、修験の修行の場だったことから、竹山には数々の天狗伝説が残っている。

「頂上で神灯が見えたり、太鼓・笛・法螺貝の音が鳴り響いたり、岩石が落ちた音がしたのに落ちてなかったり、夜中に竹山で騒がしくすると石礫が飛んできたり」と、この三国名勝図会の竹山の天狗伝説はほんの一部に過ぎない。

山へと向かう一の鳥居の横の石碑には「竹山神社」と書いてあるが、七合目の拝殿には「武山神社」と書かれている。

第二次世界大戦中、武運を祈る出征兵士の参拝が相次いだので、「武山神社」と改称されたそうだ。

武運の祈願から手力男命と須佐之男命を、山伏と天狗伝説から猿田彦命を、後から祀るようになったのだろう。


*三国名勝図会(さんこくめいしょうずえ)についてはこちら⇩

『揖宿神社』

https://keipandkeip.blogspot.com/2022/11/blog-post.html


*揖宿郡:現在の鹿児島県指宿市


一の鳥居








二の鳥居








七合目の拝殿








頂上の拝殿








                                         【菊の御紋章と日章旗の故郷】


次のように記された案内看板があった。



   竹山奥社の旭日幡と日章旗

竹山*奥社は中腹の岩陰を利用し、「大漁航海守神」の山川石の祠の上に、真ん中に天の字を書いた菊紋形の旭日幡と日章旗が飾ってある。
竹山で太陽を祀り、正月には初日の出を遙拝する風習があった。
竹山は、日本古来の自然崇拝に中国伝来の仏教・道教を複合させた熊野修験の行場で、不思議な天狗の伝説も伝わっている。
天狗は山伏の理想の姿である。
明治になって、旭日幡は菊の御紋章として皇室のシンボルとなり、日章幡は島津の船印を経て我が国の国旗となった。
薩摩藩唯一の貿易港山川港口の竹山は、菊の御紋章と日章旗の故郷である。

菜の花や 月は東に 日は西に 
 春の海 ひねもすのたりのたりかな    
                蕪村



*奥社:竹山の頂上の拝殿のこと。













【スヌーピー山とも呼ばれる竹山】


竹山は「スヌーピー山」とも呼ばれている。

名付け親はタイガーウッズ。

1998年、カシオワールドオープンゴルフトーナメントで、ヘリコプターで来場したタイガーウッズは、上空から竹山を見て、「スヌーピーが寝ているようだ」と言ったそうだ。

竹山は、マグマが急に冷えて固まった安山岩の固まり。

誕生は、推定5〜6万年前とされている。

岩肌に自生しているソテツは、国の特別天然記念物に指定されている。





























【おわりに】


竹山神社は、*枚聞(ひらきき)神社から車で13分の場所にある。

竹山を初めて見た私は、「猫耳みたい。猫耳山と名付けよう」と思った。

スヌーピー山と呼ばれていることを知り、「どこがスヌーピー?…スヌーピーが仰向けで空を見ている姿か〜」と、気付くのにしばらく時間が掛かった。

一の鳥居の先に竹山神社の駐車場がある。

駐車場から舗装された道を徒歩で登ると、「武山神社」と書かれた拝殿がある。

七合目の「武山神社」の拝殿から、道なのかどうかも分からない、人一人がやっと入れるような、低い木に覆われた茂みのトンネルを登って行くと、頂上の拝殿がある。

山伏の修行の場だけあって、2つの拝殿まで登るのはかなりきつい。

蚊が多いので、虫が苦手な方にはもっときついだろう。

しかし、頂上から見る景色は壮大で、一味違う指宿の景色を見ることができる。

木や岩が陰になり、指宿の景色を一望することはできないけれど、頂上まで登る価値はある。


頂上からの景色

とても静かで、無になり、時間が止まっているかのような、地球には自分だけしかいないような、不思議な感覚になる。

とても不思議な場所だ。

今まで、日章旗・旭日旗・菊花紋について考えたことはなかったけれど、竹山に来てとても勉強になった。

日本が希望の地と言われる理由も何となく分かったし、大陸からの文化や人を受け入れて融合した日本は凄いと思った。

私は天狗が好きで、山伏の修行の場と聞いて竹山神社を訪れた。

天狗と鬼は実在した人間で、天狗は山伏らしい。

天狗は団扇を扇げば、風や天気を自在に操るなどの超越した力を持っていた。

これは本当で、*ある神社を訪れた際、ある場所だけ天気が目まぐるしく変わり、写真を撮ると天狗が写っていた。

この天狗は、私たちと同じ顔をしていた。

また*別のある神社を訪れた際、不思議な体験をして、宙に浮く天狗を見た。

この天狗は、天狗のお面をしており、お面以外は山伏の姿だった。

不思議な力や現象を、普通の人が見たら、驚いて逃げるか、不思議に思うだろう。

天狗が人里離れた場所に住んでいたのは、それも理由の一つだし、天狗は自然と一体となって暮らしていた。

竹山には天狗がいるような感じはしなかった。

ただ、頂上の拝殿で写真を撮っていると、太陽の光が強くなったので、天狗がいたのかもしれない。

竹山は、一の鳥居付近から南国っぽい大きな葉の植物が、そして、竹山に入るとソテツが見られる。

指宿は自然豊かで、空気が澄んでおり、自然崇拝にふさわしい場所だ。


*枚聞神社についてはこちら⇩

『牧聞神社』

https://keipandkeip.blogspot.com/2022/11/blog-post_25.html


*天狗が写ったある神社はこちら⇩

『揖夜神社と意宇の杜〜島根県松江市』

https://keipandkeip.blogspot.com/2021/07/blog-post_10.html


*別のある神社はこちら⇩

『鞍馬の天狗』

https://keipandkeip.blogspot.com/2021/07/tengu.html