海神社〜兵庫県神戸市垂水区

2023/06/11







 


海(わたつみ)神社




【所在地】


兵庫県神戸市垂水区




【御祭神】



[主祭神]


上津綿津見神(うわつわたつみのかみ)

※海上・航海の神。


中津綿津見神(なかつわたつみのかみ)

※海中・魚・漁業の神。


底津綿津見神(そこつわたつみのかみ)

※海底・海藻・塩の神。



[配祀]


大日孁貴尊(おおひるめのむちのみこと)

※天照大御神















【由緒と歴史】


海神社は、海沿いにある神社。

古代以来、海神社は水陸の交通の要衝だった。

社伝によると、神功皇后が三韓征伐〔新羅遠征〕からの帰途、この地の垂水(たるみ)沖で暴風雨に遭い、船が進まなくなった。

そこで、神功皇后が綿津見三神を祀ると、暴風雨がおさまった。

その後、この地に綿津見三神を祀る社殿を建てたのが鎮座の由来。

海神社の周辺では、縄文時代と弥生時代の住居跡や土器などが発掘されている。

海神社から徒歩14分の場所には、神戸で一番大きな*五色塚古墳がある。

古来より人々がこの地域で生活していたことがうかがえる。


*五色塚古墳についてはこちら⇩

『五色塚古墳と小壺古墳』

https://keipandkeip.blogspot.com/2023/05/blog-post.html




【海神社の「海」の読み方】


海神社は、「たるみ」・「あま」の仮名を当てた時代があった。

つまり、古くは、「たるみ」神社・「あま」神社と読まれていた。

読みが最初に登場するのは鎌倉時代の文書で、「海」に「たるみ」・「あま」の仮名を振っていた。

「たるみ」は、地名の垂水(たるみ)から、または、祭神の本来の名称が垂水神であったことから付けられたとされる。

「あま」は、明石国造であった海氏〔海直(あまのあたい)〕が祖神を祀ったことから、つまり、海人(あま)族が祀る神という意味で付けられたとされる。

1871年〔明治4年〕、*本居宣長(もとおりのりなが)の説に基づき、「わたつみ」神社となった。

最近では「うみ」が新たに浮上しているそうだ。

読みが複雑に変遷している神社だ。


*本居宣長:江戸時代の国学者。文献学者・言語学者・医師でもある。




【明石国造】


海神社の御祭神、綿津見三神を綿津見神(わたつみのかみ)と同神とする説もある。

国造とは、朝廷から任命されてその地方を統治した豪族で、その国の神事も司っていた。

豪族は任命された地方に土着した一族なので、国造は世襲で国をおさめた豪族とも言える。

先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)の国造本紀には、明石国造について次のように記されている。


『大倭直(おおやまとのあたい)と同祖の八代足尼(やしろのすくね)の子の都弥自足尼(つみじのすくね)を明石国造に定めた』


大倭直の祖・椎根津彦(しいねつひこ)は、国造本紀では、彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)の孫とする。

つまり、椎根津彦は、綿津見神〔豊玉彦〕の曾孫になる。

椎根津彦は、神武天皇が東征の際に出会った国津神で、航路の先導者となる。

彦火火出見尊、塩土老翁、椎根津彦、武内宿禰は同一人物か?と思うほど、神話の内容などが似ている。

彦火火出見尊が綿津見神から授かった干珠満珠の神話は、武内宿禰と神功皇后にも似たような神話がある。


これらの詳細はこちら⇩

『武内宿禰と高良大社〜福岡県久留米市』

https://keipandkeip.blogspot.com/2021/08/blog-post_22.html




【摂末社】


[猿田彦社・蛭子社・稲荷社]





【おわりに】


神戸観光では海神社を訪れる予定はなかった。

五色塚古墳に向かっていると、電車の中から海神社が見えた。

その瞬間、夢で見た神社であることを思い出した。

「夢で見た神社だ。夢の中ではお祭りがあってて賑やかだったな」と思っていると、停車駅の垂水駅に着いた。

五色塚古墳に歩いて向かっていると、垂水駅から徒歩1分の場所に海神社があった。

海神社の境内は出店の準備をしており、海神社の外の道路は提灯などの飾り付けがされていた。

海神社のお祭りがこれから行われるところだった。

海神社でお祭り、夢と同じだった。

「ここまで夢と同じなら、さすがに海神社に寄らずに帰るわけにはいかないな」と思った。

先に五色塚古墳に向かって、帰りに海神社に寄ったのだった。

なぜ夢に海神社が出てきたのかは分からなかったのだが、次の3つが関係すると思う。

海神社の拝殿は、明石海峡の海に向かって建っている。

海神社は、国産み神話でイザナギとイザナミが降り立ったとされる、淡路島の自凝島(おのころしま)神社と沼島の自凝神社に近い。

海神社は、神功皇后と関係する神社。

淡路島にはいつか訪れてみたい。




【今回の神戸観光で訪れた神社や史跡】


『生田神社〜兵庫県神戸市中央区』

https://keipandkeip.blogspot.com/2023/03/blog-post.html


『長田神社〜兵庫県神戸市長田区』

https://keipandkeip.blogspot.com/2023/04/blog-post.html


『氷室神社〜兵庫県神戸市兵庫区』

https://keipandkeip.blogspot.com/2023/04/blog-post_30.html


『五色塚古墳と小壺古墳』

https://keipandkeip.blogspot.com/2023/05/blog-post.html