2020年1月15日、2泊3日の東京旅行。

その2週間前、髪を乾かしていると、平将門が現れた。

肩から上の姿で現れ、ざんばら髪で、肌は幽霊のように白かった。

でも、全く怖くなかった。

それよりも、私は肝心なことを思い出した。

「東京に行ったら、将門塚を訪れてみたかったんだった!」

将門が来てくれなかったら、旅行から帰った後に「忘れてた!」と後悔するところだった。


それにしても、なぜ平将門が来たのだろうか?

将門は、全く悪い人に見えなかった。

何だか悲しそうで、威圧感もなかった。

私は、歴史に詳しくないので、将門について調べてみた。

そして、調べているうちに、将門の思いが分かった。


将門は、飢餓で苦しむ人々を目の当たりにして嘆いた。

飢餓で苦しむ人々の為に、民衆と共に畑を耕し、耕しやすいようにと鍬を作った。

将門は、自分の地位や名誉はどうでもよく、人々が平穏無事に暮らす社会を望んでいた。

なぜなら、自分だけが幸せであっても、世の中の人々が幸せでなければ、それは本当の幸せではないと理解していたから。

将門は、特別なことは望んでおらず、民衆と同じ暮らしができればそれでよかった。

平将門は、とても精神性の高い人物だった。


1月15日の夕方、将門塚を訪れた。

敷地に入った瞬間、バリアが張られているような、神聖な空間に入った感覚になった。

別空間に移動した感じになり、背筋がピンと伸びた。

「結界か!?ここではちゃんとしないと、考えを見透かされる」

塚の前で手を合わせ、思いを伝えた。


「あなたは多くの人々を救おうとしたのですね。

心半ばでそれが成し遂げられなかったのですね。

残された人々のことを思うと、悔やんでも悔やみきれなかったですよね。

今も、あなたが生きていた時代と、何も変わっていません。

私利私欲に目が眩んだ人達が、人々を救おうとする人を陥れ、手柄を横取りします。

でも、そんな時代も終わるでしょう。

私もあなたのような素晴らしい人になりたいです。

人々を救おうとしている人達に力を貸して下さい。

そして、私が人々を助けたいと思った時にも力を貸して下さい」


帰ろうとした時、体が震えて泣きそうになった。

将門とシンクロしたようだ。

彼の本当の思いが分かる人は少ないのだろう。


呪いは、祟られる側にやましい気持ちがあれば成立する。

どうか将門の前では、「呪いだ」「祟りだ」と言って騒がないでほしい。

彼の思いを汲み取り、多くの人々を救いたいと願うのであれば、きっと力になってくれるでしょう。